2021年 04月 27日
関係性の中で、家をつくる |
もう8年も前の記事ですが、今も古びていないので、再び掲載します。
職人もそれぞれ個性と技量と想いの異なる、人間です。
見積額で比べる前に、やることがあるでしょう。
設計者、住まい手、そして職人の関係性の中で、家は作られるのです。
大工 齊田
以下、2013年7月の当ブログ記事より再掲。
昨年の今頃、「相見積もり」についてこのブログで取り上げたことがありました。
→ 2012.8.19 「相見積もり」について
記事の中でとりあげた東京の相羽建設さんのブログで、ふたたび相見積もりについて書かれていたのでご紹介します。
相羽建設ブログ 2013.7.16 より全文掲載。元の記事はこちら→「正しい建築家の選び方」
以上、全文を掲載。
引用した記事中の永田昌民さんのコメントが的を射ています。
特に②~④。
ここで書かれているのは「モノづくりとは関係性の中にある」ということではないでしょうか。
住まい手と作り手。
施主と設計者と施工者。
この3者(2者)が長い時間軸を通してよい関係性を保ちながら住まいを守っていく事の必要性が端的に書かれています。さすがです。
ちなみに、私の相見積もりに対するスタンスは以前から変わらず、Noです。
理由はやるだけ無駄だから。
同じものができるわけでもないのに、金額だけ比べても意味がありません。
私に言わせれば、やる人によって多少の値段の違いがあるのは当たり前。
出来るものが多少違うのも当たり前。
それが嫌ならば、できているもの(建売)を買うべきです。
私の住む北海道でも相見積もりをする設計者(建築家)がたくさんいます。
表向きには「相見積もりはやりません」と言いながら、
実際は「いやぁ、予算が厳しくて・・・」と言って、業者間で競わせている人もいます。
このデフレの時代に、叩いて競わせれば値段は下がります。
その向こうでは、職人がその仕事に誇りを持てなくなるばかりか、生活自体が成り立たなくなるということが起きています。
職人がいなくなるということは、地域の住まいを守る人がいなくなるということです。
設計者も、住まい手も、そして我々作り手も、今一度よく考えなければなりません。
(こんな話に興味のある方は、こちらの記事もどうぞ。→大工(職人)がいなくなる日)
大工=地域の家守り 齊田綾
→ 2012.8.19 「相見積もり」について
記事の中でとりあげた東京の相羽建設さんのブログで、ふたたび相見積もりについて書かれていたのでご紹介します。
相羽建設ブログ 2013.7.16 より全文掲載。元の記事はこちら→「正しい建築家の選び方」
正しい建築家の選び方
『私たちは、いかなる工事業者とも利害関係を持たず、中立公正な立場で競争原理に基づき適正価格を導き出しますので、一般的な工事価格より10%程度のコストダウンが可能で、設計料の10%はけして高い物ではありません。』
と云う事を看板に相見積で仕事を受注している設計事務所が沢山あります。
素人の方には「なるほど」と思わせるような能書きですが、本当でしょうか?
家づくりに失敗しない為にも、是非読んでください。
私たちが普段お付き合いしている永田昌民さん、野沢正光さん、田中敏博さん、伊礼智さん等々のいわゆるプロ向けの建築雑誌に定番で住宅を掲載している一定レベルを越えた住宅を設計している建築家たちは、基本的に相見積をしません。そして積極的に工務店と特別な信頼関係を築こうとします。その理由を以前永田昌民さんに聞いた事があります。
①プロなら自分で引く線くらい自分でいくらするか判っている。だから相見積して価格チェックして比較表をつくってなんて馬鹿馬鹿しい事に時間を使うより、その時間で1枚でも図面を描いた方が、確実に良く練られた暮らし易い住宅になる。自分のスタイルを持てずにいろいろな事に手を出すから、自分の線の価格も見えなくなっちゃうんだよ。
②信頼関係がある工務店や職人さんと仕事をすることで確実にレベルが上がる。設計する時点でも、あの棟梁ならこのくらいの仕事を描いても大丈夫だろうとか、あの左官が入るなら、仕上げを漆喰にするかなど、職人の顔を浮かべながら設計が出来る。毎回知らない人と仕事したって面白くないだろ。相手が見えるから、こちらも真剣勝負が出来るんだよ。
③何度か同じメンバーで仕事をすると、お互いの気心も理解できるので、確実に仕事が早くなり、手戻りも無くなる。そうなれば工務店も適正な利益が確保できるようになる。信頼関係がないまま工務店を絞れば、行き着く先は手抜き工事か倒産でしょう。どちらもクライアントのためにならないね。初めての工務店や職人だと、お互い相手の考え方が理解できていないので、ぎくしゃくし効率が悪い。いちいち色見本をつくって現場で打ち合せるような無駄も無くなり、この間やった○○邸の玄関の壁、あれ感じ良かったので同じにして。と云うだけでお互い通じあえます。
④同じ地域なのに毎回施工者を変えていたら、何かトラブルがあった場合工務店に気持ち良く動いてもらえないだろう。毎回継続して仕事をしているから、少々無理なお願いも聴いてもらえるんじゃないか。住宅と云うのはきちんとメンテナンスをしながら快適に永く住み続けるもの。お金だけの関係でそういう信頼関係を持てない住宅は、住み始めてから住まい手が苦労する事になる。
結局相見積をしている設計者の多くは、自分が引く線の価格を理解できず見積価格に期待しているから、施工力が無くて図面もまともに読めない結果、安い値段で見積してしまう工務店に引っ掛かってしまいます。また、設計者自身もメンテナンスに興味がないから、板壁や左官壁なのに軒の出ていないような建物を何のためらいもなく設計図に描きます。将来的なメンテナンスに住まい手が苦労する事になる事より自分の作品性を優先している結果です。
設計者を選ぶ場合、施工事例と施工工務店名を確認しましょう。
施工工務店名を出さないような設計事務所は、施工者との関係が出来ていなく、この建物を自分だけの力でつくったと勘違いしている人ですから、問題が起きた時に解決する能力がなく、多分逃げ出してしまう人たちです。
相見積をする設計者が全てこういう人だとは限りませんが、そう云う人の可能性が高いです。これから建築家と家づくりを考えている方は、建築家選びに注意しましょう。
以上、全文を掲載。
引用した記事中の永田昌民さんのコメントが的を射ています。
特に②~④。
ここで書かれているのは「モノづくりとは関係性の中にある」ということではないでしょうか。
住まい手と作り手。
施主と設計者と施工者。
この3者(2者)が長い時間軸を通してよい関係性を保ちながら住まいを守っていく事の必要性が端的に書かれています。さすがです。
ちなみに、私の相見積もりに対するスタンスは以前から変わらず、Noです。
理由はやるだけ無駄だから。
同じものができるわけでもないのに、金額だけ比べても意味がありません。
私に言わせれば、やる人によって多少の値段の違いがあるのは当たり前。
出来るものが多少違うのも当たり前。
それが嫌ならば、できているもの(建売)を買うべきです。
私の住む北海道でも相見積もりをする設計者(建築家)がたくさんいます。
表向きには「相見積もりはやりません」と言いながら、
実際は「いやぁ、予算が厳しくて・・・」と言って、業者間で競わせている人もいます。
このデフレの時代に、叩いて競わせれば値段は下がります。
その向こうでは、職人がその仕事に誇りを持てなくなるばかりか、生活自体が成り立たなくなるということが起きています。
職人がいなくなるということは、地域の住まいを守る人がいなくなるということです。
設計者も、住まい手も、そして我々作り手も、今一度よく考えなければなりません。
(こんな話に興味のある方は、こちらの記事もどうぞ。→大工(職人)がいなくなる日)
大工=地域の家守り 齊田綾
by aya-saita
| 2021-04-27 10:03
| 家づくり
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