2012年 03月 13日
自然素材 |
私が大好きな建築家の中村好文さんの著書に素敵な文章があったので、ここでご紹介します。
中村好文 著 「普段着の住宅術」
pp25-pp26 -設計ノート#4 確かな素材- より。
文章中の三谷さんとは、木工作家で中村さんの友人でもある三谷龍二さん。
中村さんが三谷さんの小屋「MITANI HUT」を設計し、完成してしばらくしてから訪ねたときの文章です。
健康に良いとか、環境に優しいとか、自然素材の魅力が効能(効果)として表現される事が多いのですが、中村さんは、ただそれだけで「いいもの」であることを、皮膚感覚として感じるべきだ、と述べています。
全く同感です。
さらに、付け加えるならば、その確かな素材(自然素材)をきちんと使うために確かな技術が必要なのだと思います。
大工 齊田綾
先日、久しぶりで小屋を訪ねて、その床板が見違えるほど味わいのある色合いに変化し、艶やかに底光りしていることに気付き、目をみはった。しゃがみ込んで思わず両手の掌で撫でさすったほどである。床板は三谷さんが永年、自分の仕事用に在庫していた秘蔵の栗の板材を縁甲板に加工し、床に貼ったもの。つまり、思いのこもった床材である。「確かな材料」と言葉でいえばひとことだが、その確かさや魅力が本当に滲み出すまでには、人の手と歳月という、ふたつの雑巾でしっかりと磨き込まれなければならないらしい。
さて、その歳月は、漆喰塗りの壁にも同様に染み込んでいた。小さな傷と多少の汚れ、古い葉書のようなうっすらとした黄ばみ、これを私は風合いと見る。古びたときに美しさを増す素材に囲まれて暮らす豊かさを言葉で語り尽くすのはむずかしい。自然素材は、その効能を声高に言い立てなくとも、ただそれだけで「いいもの」であることを、頭からではなく皮膚感覚として感じるべきものだと思う。
中村好文 著 「普段着の住宅術」
pp25-pp26 -設計ノート#4 確かな素材- より。
文章中の三谷さんとは、木工作家で中村さんの友人でもある三谷龍二さん。
中村さんが三谷さんの小屋「MITANI HUT」を設計し、完成してしばらくしてから訪ねたときの文章です。
健康に良いとか、環境に優しいとか、自然素材の魅力が効能(効果)として表現される事が多いのですが、中村さんは、ただそれだけで「いいもの」であることを、皮膚感覚として感じるべきだ、と述べています。
全く同感です。
さらに、付け加えるならば、その確かな素材(自然素材)をきちんと使うために確かな技術が必要なのだと思います。
大工 齊田綾
by aya-saita
| 2012-03-13 21:11
| その他
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