2015年 11月 18日
見事な最期。 |
近所にある、街道沿いの旧家。
町長も出した地元の銘家の家屋が道路拡張に伴い解体されていました。
ずいぶん前から目を付けてたんです。良い建物だろうなぁって。
中をのぞいてみるとやっぱりね、思った通りだ。
ケヤキの大黒柱にカツラの差し鴨居。
こちらでは2間半の間をカツラの差し鴨居で支えています。
解体業者のおじちゃんが
「あんた、大工さんかい? 材料欲しいのかい?
悪いけど、もう行くとこ決まってんだ。
何人も大工が来て材料見てくんだけどさ、もう決まってんだよ。
悪いな。」だって。
そりゃ欲しいけど、まさか貰えるとは思ってませんよ。
聞けば、もう行き先が決まっていて、きちんと使ってもらえるみたいです。
良かった良かった。
建てられればいつかは壊される日が来ます。
もちろん、古い建物が壊されてしまうことに寂しさを感じないわけではありません。
壊さずに直して使えるならその方が良いでしょう。
が、築後100年近くこの場所で住まい手と地域を見守ってきた建物です。
天寿を全うし、また新たな生を受けて別の場所で誰かを守ってくれるなら、それもまた良し。
100年後、自分の建てた家がこうやって皆に惜しまれて解体され、骨組みがどこか別の場所で再び使ってもらえるならば、大工としては嬉しいですよね。
本物の素材と技術を使って建てる。
直しながら何代も住み継ぐ。
壊す時には大切にばらして、使える部材をまた使う。使えない物も最後は土に還る。
これぞ家。
見事な最期です。
大工 齊田綾
町長も出した地元の銘家の家屋が道路拡張に伴い解体されていました。
ずいぶん前から目を付けてたんです。良い建物だろうなぁって。
中をのぞいてみるとやっぱりね、思った通りだ。
ケヤキの大黒柱にカツラの差し鴨居。
こちらでは2間半の間をカツラの差し鴨居で支えています。
解体業者のおじちゃんが
「あんた、大工さんかい? 材料欲しいのかい?
悪いけど、もう行くとこ決まってんだ。
何人も大工が来て材料見てくんだけどさ、もう決まってんだよ。
悪いな。」だって。
そりゃ欲しいけど、まさか貰えるとは思ってませんよ。
聞けば、もう行き先が決まっていて、きちんと使ってもらえるみたいです。
良かった良かった。
建てられればいつかは壊される日が来ます。
もちろん、古い建物が壊されてしまうことに寂しさを感じないわけではありません。
壊さずに直して使えるならその方が良いでしょう。
が、築後100年近くこの場所で住まい手と地域を見守ってきた建物です。
天寿を全うし、また新たな生を受けて別の場所で誰かを守ってくれるなら、それもまた良し。
100年後、自分の建てた家がこうやって皆に惜しまれて解体され、骨組みがどこか別の場所で再び使ってもらえるならば、大工としては嬉しいですよね。
本物の素材と技術を使って建てる。
直しながら何代も住み継ぐ。
壊す時には大切にばらして、使える部材をまた使う。使えない物も最後は土に還る。
これぞ家。
見事な最期です。
大工 齊田綾
by aya-saita
| 2015-11-18 23:08
| その他
|
Comments(0)