2012年 03月 20日
倫理的であること その2 -ドイツ「倫理委員会」- |
先日の大江健三郎氏の「倫理」という言葉で思い出したのは、原発事故の後にドイツのメルケル首相が立ち上げた「倫理委員会」の事。
以下、日経ビジネスon Line (2011/9/2)より
と、環境問題に精通した政治家と金属工学が専門の研究者をトップに据え、委員15人の委員の顔ぶれは
哲学者やカトリック教会の幹部ら、原子力の専門家でない人々が委員会に加わっています。
これは、
であるそうです。
この「倫理委員会」は公開、しかもテレビとインターネットで議論の様子を放送したとのこと。
議論の結果、「倫理委員会」は全ての原子力発電所の廃止を提言。
議論のすべてをここで紹介する事も出来ないし、かみ砕いて説明する能力もないのだけれど、「科学技術を使う」にあたって「倫理が大切である」という観点で議論し、それをオープンにする。国民的な議論にした後、リーダーが決断。
これ、今の日本では、とてもじゃないけれど出来ないんだろうなぁ。
大工 齊田綾
以下、日経ビジネスon Line (2011/9/2)より
倫理委員会の委員長は、2人。その内の1人、クラウス・テップファー元連邦環境大臣はCDUの党員で、国連環境計画UNEPの事務局長を務めたこともある、ドイツで環境問題に最も精通した政治家の1人だ。彼は提言書の作成に取りかかる前に「“原発を廃止する”と宣言するだけでは十分ではない。我々は、原発の廃止が電力供給のリスクをどの程度高めるのか、先進国ドイツの経済的な安定性を確保できるのかについても、分析しなくてはならない」と語っていたが、シュレーダー政権が2002年に導入した最初の脱原子力政策については前向きに評価していた。もう1人の委員長は、ドイツ研究者連盟のマティアス・クライナー会長。ドルトムント技術大学の教授で、金属工学が専門である。その他の委員15名は、次の通り。
と、環境問題に精通した政治家と金属工学が専門の研究者をトップに据え、委員15人の委員の顔ぶれは
・社会学教授(リスク社会学が専門)
・元連邦教育大臣
・プロテスタント教会の司教
・ドイツカトリック中央委員会の委員長
・ドイツ自然科学アカデミー会長
・化学メーカーBASF社長
・元連邦科学技術大臣
・ドイツ・ユネスコ委員会の委員長
・ドイツ地学研究センター所長/技術科学アカデミー会長
・哲学者
・ミュンヘン・フライジング教会の大司教
・経済学者、持続可能な成長に関する審議会の委員
・社会学者/リスク研究家/持続可能性に関する審議会の会長
・米国の政治学者/ベルリン大学の環境政策研究センター所長
・鉱業、化学、エネルギー業界の産業別労働組合の議長
哲学者やカトリック教会の幹部ら、原子力の専門家でない人々が委員会に加わっています。
これは、
ドイツ政府が震災後に倫理委員会を設置したのは、「エネルギー問題は社会のリスクと密接に結びついているため、単に技術的な議論をするだけでは十分ではない」と判断したため
であるそうです。
この「倫理委員会」は公開、しかもテレビとインターネットで議論の様子を放送したとのこと。
議論の結果、「倫理委員会」は全ての原子力発電所の廃止を提言。
メルケル首相は、技術者の鑑定結果よりも、原子力に無縁の人々の意見を重視して、2022年12月31日までに原発を完全に停止することを決めた。
議論のすべてをここで紹介する事も出来ないし、かみ砕いて説明する能力もないのだけれど、「科学技術を使う」にあたって「倫理が大切である」という観点で議論し、それをオープンにする。国民的な議論にした後、リーダーが決断。
これ、今の日本では、とてもじゃないけれど出来ないんだろうなぁ。
大工 齊田綾
by aya-saita
| 2012-03-20 07:28
| 震災がれきと原発
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